引き続き、作家・上橋菜穂子さんとその作品について語っていきます。

何しろ小学生の頃からの付き合いですから、その分の思いを綴るにはいくら時間があっても足りません。
そんなわけで、今回のテーマはようやく本題。

「上橋菜穂子の魅力について」
ただのファンがオタク特有の早口で好きなものについて語っていこう、と思います。

「世界観」
私が思うに、この世界観こそ、長年人々の心を惹きつけて離さない、上橋さんの魅力です。
文化人類学者としての研究が本業だという背景もあるのでしょう。
上橋さんの描く世界は、そのどれもがかなり緻密に作り込まれているように感じます。
人物同士の関係だけではない、人物とそれが生きている世界との関わり方が実にリアリティに溢れていて、読む人の心をがっちり掴んで離さない。

思えば、上橋さんの物語には、必ずと言っていいほど、政に携わる人物が重要な位置に置かれている気がします。
精霊の守り人のチャグムは皇太子ですし、獣の奏者でも主人公エリンが関わることになる王獣は国の象徴、鹿の王も、狐笛のかなたも、香君も。
国を動かす為政者の存在が明確にあり、彼らの動きが主人公たちの未来を大きく左右していくのです。

その土地に生きる者たちが形成している文化、そしてその国の政治に関わる者たちの思い、企み・・・
そういったものまで描いているからこそ、読者はその世界を「生きているもの」として錯覚してしまう程の没入感を味わえるのだと考えています。

想定より長くなってしまいましたが、みなさんもぜひ、上橋菜穂子さんの描く世界にどっぷり浸かってみてください。やみつきになります。

おすすめは、長編ならやはり『精霊の守り人』シリーズ。
映画化された『鹿の王』はファンタジーに馴染みがなくても入り込める作品かと思いますし、
シリーズものを読むのがハードル高いと感じられるようなら、文庫本1冊で完結する『狐笛のかなた』がおすすめです。

 

画像は上橋菜穂子さんと言えば、のウォンバットです。可愛いですよね。